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関東支部
6月例会報告「司馬さんの宿題」
更新日:2015年12月22日
 
■開催日:2014年6月20日金   時間18時0分〜21時0分
■場 所:東海大学校友会館
■講 師:後藤多聞氏
 
 後藤さんは、永年NHKのディレクターとして番組づくりに関わってきた。大阪生まれ京都育ちの氏は、学生運動には学問への敬意が泣くことから展望がないと感じていたころ、テレビで「新日本紀行」を観ていいなあと思い、NHKに入局したのだという。
 大阪でテレビの高校生講座や市民大学講座などを担当し、地道に自分自身にさまざまな蓄積を増やしていたおり、教養番組班に異動になった。それからは、国宝のお寺をめぐっての取材を担当。「歴史への招待」の番組づくりでは陳舜臣さんとのお付き合いも深まった。
 そんな折、1977年にモンゴルの夏の祭り「ナ―ダム」を初めて取材できることになり、司馬遼太郎さんに出演を依頼、お付き合いが始まった。まず、ロシアのイルクーツクに入り、撮影を開始。しかし、撮影希望を出しても担当者の返事は常に「明日に」「わからない」ばかり。毎日、明日のことはわからないと言われながらの取材。
 ようやくモンゴルに入り、取材開始。季節は動物の乳の出る6月から8月が取材時期。すべてが未知の体験。ウランバートル最高級ホテルに宿泊しても、すべての料理が羊の脂のにおいで辟易したが、よくしたもので次第に慣れたという。以来、司馬さんとは長いお付き合いとなり、幾つかの番組をともにつくった。
 また、帰京後は正倉院の番組をつくり、シルクロードに興味を抱き、そこから、平山郁夫さんとのお付き合いも始まった。チベット、ブータン、ニューギニア、雲南(麗江、大理)など世界の秘境を数多く訪ね、そこに暮らす人々の多様で興味深い生活と現状を見て、放送して来た。そのなかで、司馬さんからもらった約束をしばしば思い起こしていた。
 自分は、世界中の、とくに秘境といわれるところの文化を取材してきたつもりだったが、それもまた、世の中の大きな変化のなかにいた。この激動の社会のなかで人はどう生きていくのか。その視点を、何をつくるときにも考えること。それが、司馬さんからもらった宿題のように思う。
 以上のような、珍しい体験をたくさんなさってのお話、本当は細部がとても興味深く、面白かったのですが、お伝えできず残念です。
野田真智子